パイエル板というリンパ組織


実は腸の表面というのは、体のいわば「内なる外」といえます。

体の外から入ってくる食物にふれる部分が腸の表面ですが、食物は人間にとっては異物ですし、有害物質や細菌が含まれていることもあります。

腸は、その食物を体内にとり入れてもいいかどうかを瞬時に見分ける働きをします。その意味で「内なる外」なのです。

そんな腸の役割のために活躍するのが、パイエル板というリンパ組織です。腸に‐00カ所以上あるこの組織には、骨髄でつくられ、免疫反応をつかさどる

この仕組みは、体外の物質に対してだけではなく、体内にできた異物=ガン細胞についても同様です

私たちの体のなかでは、毎日数千個ものガン細胞が発生しています。

ガン化した細胞はもともと自分の組織であり、いわば不良化した身内です。身内にはだれでも甘い傾向があり、免疫細胞がガン細胞をたたく力も、それほど強くありません。

ところが、パイエル板で訓練されたT細胞は異物を区別し攻撃する力が活性化しており、ガン細胞を小さいうちにたたいて、大きくなるのを未然に防いでいるのです。

これを腸管免疫と呼びます。実は、この腸管免疫は体内で最大の免疫系でもあります。

では、この腸管免疫力を高めるためにはどうすればよいのでしょうか。

実は、腸管免疫に重要な影響を及ぼしているのが腸内の環境、すなわち腸内細菌の状態です。腸内には100種類以上、100兆個もの細菌がすんでいるといわれます

この腸内細菌の状態をよくすることが、腸管免疫力を高めることにつながります。

そして、腸内環境の改善は、毎日の生活習慣に対する配慮によって十分に可能なのです。