ストレスで低下する免疫力は、副交感神経を優位にするとアップします

ストレスで低下する免疫力は、副交感神経を優位にするとアップします

免疫力の主な要である白血球(免疫細胞)とは、ひとつの血液成分をさすのではなく、さまざまなメンバーから構成された、いわばチームのような存在です。

そのチームの主要メンバーのなかでも大きな働きをするのが、顆粒球とリンパ球です。

白血球のうち、顆粒球は54~60%、リンパ球は35~40%を占めます

顆粒球が半分以卜を占める理由は、顆粒球の活躍する場面が多いからにほかなりません。

私たちの体には、細菌が最も多く侵入してきますが、そこで活躍するのが顆粒球です。たとえば皮膚の傷口に細菌が集まると、顆粒球がそれらの細菌を飲み込んで処理します

ただし、顆粒球は細菌などの大きなサイズの異物を退治するのは得意ですが、ウイルスや花粉など小さな異物の処理は得意ではなく、とり逃がしてしまいます

そこで活躍するのがリンパ球です。リンパ球にもT細胞やB細胞などいくつか種類があり、それぞれに役割と持ち場が決まっています。

リンパ球は、敵が来ると多くのメンバーを呼び出し、みごとな連携プレーを発揮して、チーム一丸となって戦うのです。

こうした免疫力は、自律神経にその働きを支配されています。

自律神経とは、私たちの意志とは無関係に、呼吸や体温、血管や内臓などの働きを調整している神経のこと。この自律神経には、次の2つがあります。

 

●交感神経
昼間の活動時に優位になる神経。心臓の拍動を高め、血圧を上昇させて、体を活動させる。緊張時や興奮時に働く。

●副交感神経
夜や休息時に働く神経。血管を広げ、血流を促し、心身をリラックスさせる働きがある。

 

通常は、この2つが自然とバランスをとりながら働いており、意識的にコントロールすることはできません。

ところが、過労、心労、薬の長期服用などで心身に強いストレスがかかると、免疫力は激減します。ストレスによって自律神経の働きに乱れが生じることが、その原因です。

交感神経と副交感神経のバランスがくずれ、自血球にも悪影響が及ぶのです。

つまり、交感神経の働きが優位になり、アドレナリンというホルモンが分泌され、顆粒球が必要以上に増加することになります。

顆粒球は殺菌などの役目を終えて消滅する際に、活性酸素を発生させるため、大量にできると、体のあちこちの細胞や組織を破壊してしまうのです。

逆にいえば、免疫力をアップさせるには、副交感神経を刺激して、優位に保っておくことが非常にたいせつです。

とはいえ、副交感神経を過剰に優位にさせてもいけません。花粉症やアトピーなどを招くことになるからです。

ただ、ある程度副交感神経を優位にしておけば、自律神経のバランスがとれ、免疫力も高まります。

では、副交感神経を優位に保つには具体的にどうすればよいのでしょうか。

まず、免疫力を低下させる最大の原因であるストレスのもとを探し、それを軽減させましょう。

悩みがないか、働きすぎていないかなど、自分の生活をふり返り、ストレスをためないように気持ちを切りかえることが必要です。

適度な運動をすることもたいせつです。体がポカポカして汗ばむくらいの運動は、副交感神経を優位にします。

次に薬の問題です。ステロイド剤などの業は長期に使うと交感神経を過剰に優位にします。できるだけ使用を控えたほうがいいでしょう。

食事の際、ゆっくり食べることもおすすめです。食べること自体が副交感神経を優位にします。水分をたっぷりとることも忘れないこと。

体をあたためて血流をよくすることも欠かせません。少しぬるめのお風呂につかったり、カイロを使ったりするのもいいでしょう。

また、深呼吸も副交感神経を優位にするいい方法です。

これらのことを心がけて実行すれば、免疫力を上げるのに大いに役立つでしょう。

なお、顆粒球とリンパ球のバランスをくわしく知りたい人は、血液検査で白血球の内容を調べてもらうことができます。