体が冷えてー億総半病人の日本

体が冷えてー億総半病人の日本

たばこやアルコールのとり過ぎの害を気にする人は多いのに、「砂糖」の害について気にする人が少ないのは私からすると不思議でなりません。

砂糖が体に及ぼす影響で、まず問題なのは、体をひどく冷やしてしまうこと。

暑い土地では体を冷やす食物が育ち、寒い土地では体を温める食物が育ちます。

つまり、沖縄のように暑い土地でできるさとうきびを原料とした砂糖は、体を冷やす力が強いので、日常的にとっていますと、私たちの体はどんどん冷えていってしまうのです。

冷え性でお困りの方に聞いてみますと、ほとんどの人から、甘いものが好きだという答えが返ってきます。

一年じゅう体を冷やす食べ物をとっているのですから、冷え性になるのも当然です

ほかにも砂糖のとり過ぎがあまりよくない理由はあります

砂糖を口にしますと気分がすぐに高揚するかわりに、そのあとの落ち込みは極端なものになります

そうなると、体は鉛のように重く感じられ、何もすることができなくなって、頭もよく働かなくなってしまうのです。

これには、「血糖値」という血液中の糖濃度が関係しています

砂糖を口にするとすぐに血液に吸収されますので、血糖値が急激に上がって高血糖状態になります。

体じゅうの細胞にすぐにエネルギーとして配分されるので一時力がみなぎり、気分は高揚します。

しかし、高血糖を嫌う体は血糖を正常に保つために、血糖値を下げるホルモン・インスリンを分泌します。

そうすると血糖値はその後急降下して、今度は低血糖状態になってしまいます。

低血糖になりますと、体は血糖値を上げようとして、また砂糖を求めますので、がまんできずに甘いものを食べてしまいます

そうやってまた高血糖になり、その後急降下して低血糖になるっこれが繰り返されるのです

このように血糖値が上がったり下がったりするのを続けていますと、体も心も不安定な状態になっていきます

また、体に入り込んだ砂糖は、赤血球を崩壊させて血液を薄め、細胞をゆるめますそうして様々な病気を引き起こしていきます。

偏頭痛、心臓肥大、自血病、うつ病……。流産しやすくもなりますし、失禁や頻尿などの尿トラブルにもつながります

カルシウムを消費してしまうのも、砂糖の悪い影響です。砂糖が体に入ると体は酸性に傾いてしまうのですが、それを本来の弱アルカリ性に戻そうとする力が働いて、その中和への過程で体内のカルシウムが使われるというわけです


とりあえず肉と砂糖をやめるだけでも心と体が驚くほど軽くなります。朝の目覚め方が変わりますcぜひ実験してみてください。

特に、最近疲れがなかなかとれない、やる気が出ないという人は、試しに10日間続けてみてはいかがでしょうか。きつと解消できるはずです

そして、その快適さを実感したら、ぜひ次のステップヘ進んでほしいと思います。

穀物と野菜、海藻を、青ながらの方法で造られた調味料で調理する、方法に移行していつてほしいのです

いまよりずっと元気になって体の内側から若返りのすばらしい効果を、ぜひ味わってみてください。

ガン患者と「動物食」の関係

ガン患者と「動物食」の関係

食事全体の60%を穀物にすると同時に、動物性の食品はなるべく、10%に抑えるよう指導しています

これらを食べ過ぎると、血管や細胞を収縮させて、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病を誘発する可能性があります

また、動物性食品に含まれる脂肪が血液をドロドロにしていくことや、弱アルカリ性で保っている体を酸性にしてしまうことも大きな問題です

医師の新谷弘実先生によるとガン患者の食歴を調べたところ、動物性の食べ物を多くとっていたことがわかったそうです

皆さんも、試しに1週間でも、2週間でも動物性食品を徐々に減らしてみてください。体が軽くなっていくのがわかると思います

「肉を食べないと、たんぱく質が不足してしまいませんか?」と不安になる方もいらっしゃると思います。けれど、そんな心配はまったく必要ありません

植物からでも、たんぱく質は充分にとることができます。

皆さんよくご存じのように、「畑の肉」と呼ばれる大豆。

たんぱく質は人間の体の基礎を作り、生きていくためには必須の栄養素です。そして大豆にはその栄養素であるたんぱく質がふんだんに含まれています

大豆のほかにも、豆類にはたんぱく質を多く含んでいるものがたくさんあります

また、意外と見落とされがちなのが、穀類からもたんぱく質は摂取できるということです。

先ほどもふれましたが、米には、良質なたんばく質をはじめ食物繊維、脂質、ビタミン、ミネラル等のいろいろな栄養素や酵素が含まれています。

けれど、自米に精製する過程で、ぬかと一緒に捨てられてしまっているのです。

昔は外側を捨てずにまるごと食べていたので、動物性食品がなくても、充分なたんぱく質がとれていたのです

穀物をなるべくまるごと食べて、豆類を少々。そうすれば、必要なたんぱく質は充分とることができます

私たちは、緑のクロロフィルをいただいて、ヘモグロビン(赤血球のなかのたんぱく質)にし、あらゆる細胞を養うのが自然の理といえます

動物が草(クロロフィル)を食べて肉としたものを人間がいただくということは、「古血古肉」を食べることになるのです

「動物が作ったものはもらっていい」という論理は、人間のエゴだと私は思います

だからといつて、動物性の食品を必要以上に恐れることはありません。すべては「量」の問題です。

たとえどんなにいいものでも、多過ぎると害になることだってあるのです。量は質を変えてしまうのです。

いまの人は、自分の好きなものを食べ過ぎている。そう私には思えてなりません。

 

 

腹八分目は免疫力をUPさせる

まずは、おかずをたくさん食べるのをやめて、主食の穀物を多くするところから始めてください

食事全体の60%を玄米などの穀物にすることをおすすめしています。それは、穀物が最もバランスの取れた完全な食物だからです。

穀物には、小さな一粒に命が結集しています。「一粒万倍」といわれるように、 一粒から何倍もの粒が育まれるのですから、食材のなかでは、いちばん自然のエネルギーが詰まったものといえます

その際、米は精白した自米ではなく、玄米を食べることをおすすめします

玄米は、水につけておけば芽が出る「生きたお米」です。

お米は玄米の状態で食べることで、はじめて私たちはきちんと命を育む栄養まで一緒に頂戴することができます。

精製してしまった白米にはこのような生命力はありません.水につけておいたままにしておくと腐ってしまいます

白米はいわば、「死んだお米」といえるのです

おまけに、精製の途中で、食物繊維、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル等のいろいろな栄養素や酵素がぬかと一緒に削り落とされてしまいます。

生命のないものより、生命のたくさん詰まった「生きた食べ物」を食べたほうが、体にいいに決まっています

植物であっても動物であっても、まるごと食べる.不要なものは何ひとつありません。

自然が形づくったままの状態を食べる.それらを食べれば、私たちの生命になっていくのです

それは、理屈や分析など必要のない自明のことだと思います.これを「一物全体」といいます

 

最近では、世界中の食べ物を好きなときに好きなだけいただけるようになりましたが、その土地でできたものを、その土地に住む人が食べるというのが、「食の基本」です

これを「身土不二」といいます。

「体(=身)と環境(=土)はひとつである(=ふたつに分けられないとという意味で、人間が足で歩ける身近なところで育ったものを食べ、生活するのがよいとする考え方です。


つまり、「自分が暮らしている土地や気候に合った旬の食材を食べると、体によい」ということです

人は環境の子です。その上地に適した食べ物をとらないと、環境に対する順応性や抵抗力が低下し、病気にかかりやすくなるのです。

これに加えて、自分で捕れるかどうかというものさしも、「身十不二」の大切な基準です

牛やまぐろと戦って、捕獲するだけの若さと体力があるなら、牛肉やまぐろを食べても体にさわることがないかもしれません

けれど、たいていの中高年者には難しいはずです。

ですから、どうしても動物性食品を食べたいときには、自分で捕れるくらいの魚にしておくと安全なのです

いわしでもちりめんじゃこでも、桜えびでもいいと思います(その際は、量を過ぎないようにして、必ず2倍以上の野菜を添えてください)

自分の手に負える範囲かどうかを、よく見据えて食していけば、間違えることはありません。

 

 

パイエル板というリンパ組織


実は腸の表面というのは、体のいわば「内なる外」といえます。

体の外から入ってくる食物にふれる部分が腸の表面ですが、食物は人間にとっては異物ですし、有害物質や細菌が含まれていることもあります。

腸は、その食物を体内にとり入れてもいいかどうかを瞬時に見分ける働きをします。その意味で「内なる外」なのです。

そんな腸の役割のために活躍するのが、パイエル板というリンパ組織です。腸に‐00カ所以上あるこの組織には、骨髄でつくられ、免疫反応をつかさどる

この仕組みは、体外の物質に対してだけではなく、体内にできた異物=ガン細胞についても同様です

私たちの体のなかでは、毎日数千個ものガン細胞が発生しています。

ガン化した細胞はもともと自分の組織であり、いわば不良化した身内です。身内にはだれでも甘い傾向があり、免疫細胞がガン細胞をたたく力も、それほど強くありません。

ところが、パイエル板で訓練されたT細胞は異物を区別し攻撃する力が活性化しており、ガン細胞を小さいうちにたたいて、大きくなるのを未然に防いでいるのです。

これを腸管免疫と呼びます。実は、この腸管免疫は体内で最大の免疫系でもあります。

では、この腸管免疫力を高めるためにはどうすればよいのでしょうか。

実は、腸管免疫に重要な影響を及ぼしているのが腸内の環境、すなわち腸内細菌の状態です。腸内には100種類以上、100兆個もの細菌がすんでいるといわれます

この腸内細菌の状態をよくすることが、腸管免疫力を高めることにつながります。

そして、腸内環境の改善は、毎日の生活習慣に対する配慮によって十分に可能なのです。

ストレスで低下する免疫力は、副交感神経を優位にするとアップします

ストレスで低下する免疫力は、副交感神経を優位にするとアップします

免疫力の主な要である白血球(免疫細胞)とは、ひとつの血液成分をさすのではなく、さまざまなメンバーから構成された、いわばチームのような存在です。

そのチームの主要メンバーのなかでも大きな働きをするのが、顆粒球とリンパ球です。

白血球のうち、顆粒球は54~60%、リンパ球は35~40%を占めます

顆粒球が半分以卜を占める理由は、顆粒球の活躍する場面が多いからにほかなりません。

私たちの体には、細菌が最も多く侵入してきますが、そこで活躍するのが顆粒球です。たとえば皮膚の傷口に細菌が集まると、顆粒球がそれらの細菌を飲み込んで処理します

ただし、顆粒球は細菌などの大きなサイズの異物を退治するのは得意ですが、ウイルスや花粉など小さな異物の処理は得意ではなく、とり逃がしてしまいます

そこで活躍するのがリンパ球です。リンパ球にもT細胞やB細胞などいくつか種類があり、それぞれに役割と持ち場が決まっています。

リンパ球は、敵が来ると多くのメンバーを呼び出し、みごとな連携プレーを発揮して、チーム一丸となって戦うのです。

こうした免疫力は、自律神経にその働きを支配されています。

自律神経とは、私たちの意志とは無関係に、呼吸や体温、血管や内臓などの働きを調整している神経のこと。この自律神経には、次の2つがあります。

 

●交感神経
昼間の活動時に優位になる神経。心臓の拍動を高め、血圧を上昇させて、体を活動させる。緊張時や興奮時に働く。

●副交感神経
夜や休息時に働く神経。血管を広げ、血流を促し、心身をリラックスさせる働きがある。

 

通常は、この2つが自然とバランスをとりながら働いており、意識的にコントロールすることはできません。

ところが、過労、心労、薬の長期服用などで心身に強いストレスがかかると、免疫力は激減します。ストレスによって自律神経の働きに乱れが生じることが、その原因です。

交感神経と副交感神経のバランスがくずれ、自血球にも悪影響が及ぶのです。

つまり、交感神経の働きが優位になり、アドレナリンというホルモンが分泌され、顆粒球が必要以上に増加することになります。

顆粒球は殺菌などの役目を終えて消滅する際に、活性酸素を発生させるため、大量にできると、体のあちこちの細胞や組織を破壊してしまうのです。

逆にいえば、免疫力をアップさせるには、副交感神経を刺激して、優位に保っておくことが非常にたいせつです。

とはいえ、副交感神経を過剰に優位にさせてもいけません。花粉症やアトピーなどを招くことになるからです。

ただ、ある程度副交感神経を優位にしておけば、自律神経のバランスがとれ、免疫力も高まります。

では、副交感神経を優位に保つには具体的にどうすればよいのでしょうか。

まず、免疫力を低下させる最大の原因であるストレスのもとを探し、それを軽減させましょう。

悩みがないか、働きすぎていないかなど、自分の生活をふり返り、ストレスをためないように気持ちを切りかえることが必要です。

適度な運動をすることもたいせつです。体がポカポカして汗ばむくらいの運動は、副交感神経を優位にします。

次に薬の問題です。ステロイド剤などの業は長期に使うと交感神経を過剰に優位にします。できるだけ使用を控えたほうがいいでしょう。

食事の際、ゆっくり食べることもおすすめです。食べること自体が副交感神経を優位にします。水分をたっぷりとることも忘れないこと。

体をあたためて血流をよくすることも欠かせません。少しぬるめのお風呂につかったり、カイロを使ったりするのもいいでしょう。

また、深呼吸も副交感神経を優位にするいい方法です。

これらのことを心がけて実行すれば、免疫力を上げるのに大いに役立つでしょう。

なお、顆粒球とリンパ球のバランスをくわしく知りたい人は、血液検査で白血球の内容を調べてもらうことができます。

 

 

免疫システムの仕組み

私たちの健康な生活を守る免疫力は、こんな免疫システムの仕組みで働いています

ふつうに暮らしていると自覚することはありませんが、私たち人間の体は、常に外敵からの攻撃にさらされています。

目に見えない病原体や、体内の細胞が突然変異して発生するガンなどがこれにあたります。

ところが私たちには、これらの外敵から体を守り、病気になるのを防いだり、かかった病気を治そうとする力が備わっています。

これが免疫カです。

私たちの体内で免疫力をつかさどっているのは、血液中に含まれる白血球です。

この白血球は、リンパ球、マクロフアージ、顆粒球の3種類に分かれており、これらが常に体を守っているのです。

これらの自血球には、役割ごとに、さらにさまざまな免疫綱胞が含まれています。

この免疫細胞はそれぞれ種類ごとに「外敵を発見する」「その情報を伝達する」「外敵への攻撃命令を出す」「外敵を攻撃する」などの異なった役割を持っており、それぞれが状況に応じて複雑に組み合わさって、密接に連携しながら働きます。

そのため、病気を予防し健康を維持するには、この免疫力が正常に働くようにしておく必要があります。

こうした複雑なシステムによって働く免疫力には、弱点がありますこそれは、ストレスに非常に弱いということです。

現代社会には、大きな社会変動や複雑化する生活による精神的なストレス、環境の悪化などによる身体的なストレスが満ちあふれています

体がこれらのストレスを感じると、免疫力は一気に低下し、その結果、外敵から体を守ることができなくなってしまいます。

さらにストレスを受けると、体内に活性酸素が増加しますじ活性酸素とは、体を酸化させる攻撃性の強い酸素のことです。

活性酸素は細胞を破壊する、細胞をガン化させるなどの恐ろしい性質を持っており、体を老化させ、生活習慣病の元凶となります。

しかも、大量に発生した活性酸素は免疫システムを狂わせます。

すると、本来は外敵を攻撃するはずの免疫機能がアンバランスになって自分の体の細胞を攻撃するようになり、クローン病、リウマチ、アレルギー疾患などの自己免疫疾患と呼ばれる病気にかかってしまいます

このように免疫の乱れは、さまざまなダメージを私たちにもたらします。これを防ぐためには、生活のなかのストレスをなくし、活性酸素の発生を予防したり、除去したりすることが、なによりもたいせつなのです。

 

がんのイメージ療法


サイモントン療法とは米国のK.サイモントン医師によって開発されたがん治療を目的としたイメージ療法です

「よいことをイメージするとNK細胞が活性化する」ことは前にも述べました。

医師として、長年がん治療にたずさわってきたサイモントン医師は、同じような癌症状の患者に同じ治療をしても結果が異なること、また同じような遺伝情報をもつ人が、同じような環境下で生活しても、がんの発症や進展には個人差があることに気がついたのです。

サイモントン医師はがんの治療にあたって、抗がん剤治療や放射線治療という通常の治療とあわせて、その治療効果を最大限に高める目的で心理プログラムをつくりました。

がんの進行を阻止するためにもっとも大切なことは、ストレスの影響を早く取り除くことだとサイモントン医師は考えたのです

そこで第1段階として、心身のリラックスが得られるように工夫し、次にイメージ療法を行ったのです。

「NK細胞の絵を書いてください」
「がん細胞をNK細胞が食べている絵を書いてください」
「がん細胞がだんだん小さくなって消えていく様子がわかりましたか?」

などと思者に毎日のように話しかけ、患者にがん細胞が消えていくイメージを描いてもらうよう指導するのです。

そうしている間に、いつのまにか本当にがん細胞が消えてしまうことがよくあるのです。

同じような状況でがんになっても再発もせず、いつまでも元気でいる人と、すぐ再発して死亡してしまう人がいます。

これは気持ちのもち方が大きく影響していますcいつも笑って楽しく、ポジティブに生きている人は、いつもNK細胞の活性が高まっています

]NK細胞は常に体内を循環して新しく出現したがん細胞を攻撃して破壊しています

よいことをイメージし続けることが、がん細胞を抑えることにつながるのです。

よく噛んで食べると免疫力が向上する


よく噛んで食べると活性酸素を消すことができます。噛むことで活性酸素を消去するには約30秒かかります。

1回1秒、ゆっくりと計30回噛むことが必要です。活性酸素は免疫機能を傷害します。

したがって、よく噛んで活性酸素を消すことが、免疫力を高めることにつながるというわけです。

睡液にはカタラーゼ(CAT)、スーパーオキシダーゼ(SOD)、ペルオキシダーゼ(POD)などの酵素が、アミラーゼやリパーゼなどの消化酵素とともに含まれています。

睡液による発がん物質の毒消し作用はCAT、SOD、PODの抗酸化作用のはたらきなのです。

CATとPODは過酸化水素水、SODはスーパーオキシドなどの活性酸素を消去する酵素です。

したがって、よく噛んで酵素を増やすことがまず必要ということなのです。

次に、活性酸素を発生させるものを回に入れないことが大切です。

なぜなら活性酸素を発生させるものを口に入れると、腸内細菌がダメージを受けて免疫力が低下するからです。

活性酸素を発生させる身近なものがタバコです。食品添加物や農薬もそうですし、水道水や大気汚染もです。

水道水は浄水場で塩素滅菌しますが、このときの塩素は腸内細菌の増殖を阻害します。

また塩素滅菌したとき発生するのが活性酸素と「トリハロメタン」という物質です。

さらにトリハロメタンのような発がん物質は、細胞内で活性酸素を発生させます。

しかもただ生きているだけでも、呼吸しているかぎり、体内で約2%の活性酸素が発生しています。

したがって、活性酸素を消すことがもっとも重要だということになります。

活性酸素による免疫機能の低下を防ぐためには、新鮮な野菜や果物など抗酸化物質を常に摂り、飲み水も抗酸化作用のあるものを選んで飲む、そしてなによりも、よく噛むことなのです。

免疫力を高める生活習慣


免疫力を高める生活習慣について、ここでまとめてみましょう

まず、免疫力の約70%は腸内細菌がつくってくれますから、腸内細菌の餌である野菜類や豆類、穀類などの手づくりの食品を摂ることです。

現在の文明社会で生じる活性酸素を消すために、色のついた野菜や果物を十分摂ることです。

そして、腸内細菌の発育を防げるような保存料などの食品添加物が含まれた食品をひかえることです。

免疫力の約30%を、心が決めています。免疫力を高めるには、よく笑って、楽しい生活を送ることです。

自律神経のはたらきを整えることが、まず必要です。

自律神経には交感神経と副交感神経とがあります。

副交感神経が優位になると、リンパ球が増えて免疫力が高まります。

しかし、副交感神経が優位になりすぎると体の緊張状態がなくなり、免疫反応が異常になるのです。

ストレスや緊張状態が長く続いて交感神経が優位になると、免疫は低下します。

いつも笑顔を心がけること、リフレッシュ法を見つけてうまくストレスを発散することが重要です。

自律神経を整えれば、免疫力が高まるというわけです。

自律神経を整えるには、メリハリのある規則正しい生活を送ることです。

よく笑い、よく眠る、そしてクヨクヨしないことを′さがけましょう。

そして最後に、自然にふれることです。細菌類やカビ類、酵母類などの微生物とつき合っていると、免疫力、特に自然免疫力が高まることを述べました。

抗生物質や殺菌剤を必要以上に使わない、過剰に抗菌グッズを使わないような生活を目指すことが、免疫力を高めるには必要ですね。

獲得免疫の鍵は腸にあり

 

腸は人間にとって最大の免疫臓器です。

リンパ球のB細胞やT細胞の大部分が、腸に分布しています。

全身のB細胞の約70%がここに分布し、IgA抗体を主とする1日35グラムの抗体がつくられています。

粘膜固有層でつくられたIgA抗体は、上皮細胞でつくられる分泌たんぱくと結合して分泌型に変わり、粘膜層に含まれています。

腸の免疫機構は、IgA抗体をつくって粘膜を守るしくみと、血液中でIgG抗体をつくって全身を守るしくみと、二重の防衛網を活性化します。

そんな腸での免疫機構の役割を呆たしているのパイエル板というリンパ組織です。

腸管を顕微鏡で見てみると、小腸絨毛の間に存在するドーム型の「パイエル板」が見えます。

パイエル板は特に回腸に多く、リンパ小節が集合した腸管独特の免疫組織です。

そのほかにも腸管上皮細胞の至るところにT細胞を主とするリンパ球が存在して、その下の粘膜固有層という組織が免疫細胞を貯蔵する場所になっています。

腸に存在するB細胞は抗体を産生し、液性免疫として免疫力を発揮しています。

一方、腸に存在するT細胞は、細胞性免疫の場で強力な免疫力を発揮します。

骨髄でつくられて細胞を通過したT細胞がパイエル板に運ばれると活性化されます。

異物を排除する力だけでなく、体内にできたがん細胞などに対して強力な免疫力を示すのです。

前述したとおり、私たちの体の中には毎日約5000個のがん細胞が発生します。がん細胞はもともと身内の細胞だったので、免疫細胞はがん細胞をたたく力はそれほど強くありません

しかし、パイエル板で訓練されたT細胞は活性化されていて、がん細胞を攻撃する力が強いのです。

この腸管免疫は、体内で最大の免疫系です。この腸管免疫にもっとも影響を与えているのが腸内細菌なのです。

自然免疫を高める方法


私たち人類は、この地球上で数十万年にわたって生きています。

この地球上で、私たち人類が生きてきた時代の大部分は、寄生虫や細菌、ウイルスなどの微生物による危険にさらされていました。

そして私たちの免疫システムは、常にこれらの外敵の攻撃を受けてきました。私たちが強固な防御システムをもち、それが非常にうまくはたらいたため、私たち人類は生き残り、数を増やしてきたのです。

実際、自然免疫システムは、直面する絶えまない攻撃にうまく対応して、即応性や有効性の機能を向上させていました。

特に菌類やカビ、酵母細胞壁に存在するβグルカンと呼ばれる化合物の分子を認識し、強力な反撃をしかけることによって対処しています。

昔は私たちが食べるほとんどのものに酵母やカビ、菌類などが付着していました。

しかし最近では、あらゆる農作物に殺菌剤や防カビ剤が使用されるようになり、私たちの自然免疫力を低下させたのです。

また、私たちが求めた「キレイ社会Jが菌類やカビ、酵母などの微生物を追いだし、その結果、私たちの自然免疫力が低下してきたことも、その要因の1つです。

私たちの体を構成する細胞や免疫システムは、1万年前のものとまったく変わっていません。

現代の文明社会のように、自然と遊離した生活を送ると、自然免疫力は低下するのです。

1万年前の生活環境に少しでも戻すようにすると、体の反応は急速に元気になり、免疫力も高まることが、多くの研究でわかってきました。

その重要なポイントが、できるだけ自然のなかで作られたものを摂取することです

自然を体内に取り入れるという意味で、もっとも注目したいのは、ミツバチが植物の芽や樹液などを材料にして作るロポリスという物質です

「プロポリス」は、抗菌作用や抗炎作用のほか、強力な免疫活性化作用をもっています。

抗体は外敵をやっつける役割がある


液性免疫の中心的役割を演じているのが抗体です。抗体がつくられるしくみについて、まず解説してみましょう。

細菌などの病原体が体の中に侵入すると、まずマクロフアージという細胞が出現して、その病原体を食べてしまいます。

マクロフアージはその病原体の情報をヘルバーTリンパ球(Th-2)に伝え、この細胞がBリンパ球にさらに情報を伝え、Bリンパ球がこの情報にもとづいて、その病原体に特異的に吸着し、破壊する「抗体」をつくります。

したがって、マクロファージは食細胞とか抗原情報伝達細胞とか呼ばれています。

Bリンパ球は抗原産生細胞と呼ばれています。抗体は、基本的にはY字型をした分子量約20万のたんぱく質です。

このY字型の先端部分が病原体の種類によって異なり、そこに三度目に侵入した病原体を付着させて破壊するわけです。

しかしこの抗体は、病原体を排除するはたらきばかりをするわけではありません。

実は、抗体にはigG、lgE、lgA、!gMなどいろいろな種類があります。病原体を排除したり、ワクチンの効果を発揮するのがIgG抗体ですが、アレルギー反応を起こすのは、IgE抗体なのです。

アレルギー反応については後述しますが、肥満細胞というヒスタミンセロトニンを含んだ大型細胞が破れた状態がアレルギー反応なのです。

IgE抗体は、この肥満細胞の表面に付着する性質があるのです。

Y字型の先端部分がダニなどのアレルゲンを特異的に結合しますが、Y字型の尾端部が肥満細胞に付着する性質があって、アレルギー反応を起こします。

獲得免疫にも二種類ある


獲得免疫には液性のものと細胞性のものの2種類の機構があることは、何度も述べてきました。

細胞性免疫の中心になっているのがキラーT細胞で、液性免疫の中心になっているのが後述する抗体です

細胞性免疫のおもなはたらきは、ウイルスに対する攻撃とがん細胞を破壊することです。

それを担当している細胞力汀h-1というTリンパ球の一種です。骨髄でつくられたリンパ球が胸腺に移動すると、成熟したT細胞になります。

T細胞は胸腺の中で、それぞれCD4抗原とCD8抗原をもったT細胞に分化します。その中でCD4T細胞はヘルバーT細胞といわれ、CD8T細胞はキラーT細胞と、それぞれいわれています。

CD4T細胞はさらに分化して、Th-1とTh_2という細胞に分かれ、このTh l細胞がキラーT細胞やマクロファージをそれぞれ活性化して、細胞性免疫の中心としてはたらくというわけです。

Th-l細胞の表面に敵を認識するレーダーがあり、ウイルスの感染があると敵と味方を見分けます

敵だと判断するとキラーT細胞やマクロファージを活性化します。

マクロファージはウイルスを攻撃する数種のサイトカインを放出し、キラーT細胞は直接ウイルスに対して攻撃をしかけます。

私たちの体の中にがん細胞は毎日約5000個も出現してきますが、細胞の表面にあるがん細胞を見つけ、それで敵だと認識して活性化したマクロファージやキラーT細胞が、NK細胞と共同でがん細胞を破壊するのです。

免疫には二重の防衛機能がある


免疫には、自然免疫系と獲得免疫系との2種類があります。

通常は自然免疫系がはたらいていますが、これで防ぎきれなくなると獲得免疫系がはたらきます。

自然免疫系とは、生体における常設の防衛部隊であり、獲得免疫系とは緊急時に動員される防衛部隊といってよいでしょう。

自然免疫系の攻撃物質は、補体やリゾチーム、インターフェロンなどの可溶性物質です。

細胞ではマクロフアージや好中球、NK細胞などがあります。このなかでNK細胞が特に重要です。

NK細胞は、体中をつねにパトロールしながらがん細胞などを見つけだし、攻撃・破壊します。

私たちの体には、毎日3000から5000個のがん細胞が発生しているといわれていますが、このNK細胞はキラーT細胞とともにこのがん細胞を攻撃して、がんにならないようにしています。

NK細胞は、1人の人が体内に少なくとも50億個以上、多い人では1000億個ももっているとされています。

このNK細胞は、食べものや精神的ストレスなどの影響を非常に受けやすいのです。

つまりNK細胞は、私たちの生活のなかで強くも弱くもなるということです。

一方、獲得免疫系は、抗体や丁細胞を使って細菌やウイルスなどを攻撃するシステムです。

このシステムを利用したものにワクチンがあります。

はしかやおたふく風邪などに一度かかると二度とかからなくなる現象は、獲得免疫によって一度抗体を獲得すると、長い間免疫が記憶された状態になる結果なのです。

獲得免疫を担当するB細胞やT細胞は基本的に強くできていて、あまリエイジング(加齢)などの影響も受けません

そして、この獲得免疫には液性免疫と細菌性免疫の2種類の免疫系があり、それぞれTh-1とTh-2という細胞が担当しています。

免疫担当細胞とその働き


免疫は、病気になるのを防いだり、かかった病気を治そうとしたりする、私たちにとって大変重要なシステムです。

その免疫力をつかさどっているのは、血液中に含まれている自血球です。

この自血球には、マクロフアージとリンパ球、顆粒球の3種類の成分が含まれること力漱日られています。

マクロファージは、「病原体などの異物を食べて、それらの情報をT細胞に伝える」役目があり、食細胞とか抗原情報伝達細胞と呼ばれています。

リンパ球はT細胞とB細胞とに分かれていて、B細胞は骨髄由来(Bone marrOw de五ved cel)で、抗体という病原体などの異物を攻撃する物質をつくっています。

抗体産生細胞といわれています。T細胞は胸腺由来(Thymus derived cel)で、抗体産生を調節しています。

このうちB細胞に情報を伝達したり、キラーT細胞に攻撃命令をだしたり、サイトカインという物質をだして免疫反応を助ける細胞をヘルバーT細胞といいます

そのなかのTh-1細胞は、キラーT細胞に攻撃命令をだして病原体などを攻撃します。

リンパ球にはT細胞とB細胞とのほかに、NK(ナチュラルキラー)細胞という別の種類があります。

体内の異常をいち早く察知して、攻撃を開始しますcがん細胞を見つけて攻撃する細胞として有名です。

顆粒球には好塩基球や好中球、好酸球などがありますが、免疫にもっとも関係の深い顆粒球は好中球です。

病原体に対して強い貪食能や殺菌能力があります。

このように免疫担当細胞は、それぞれの種類ごとに「外敵を発見する」「その情報を伝達する」「外敵への攻撃命令をだす」「外敵を攻撃する」などの役割を分担しているのです。